■橋本愛里

 

ガールズバンド『スパンクル』のボーカル。2010年にミニアルバム“水深200メートルから見た光”を発表。HMV選考のキャンペーン「NEXT ROCK ON」で最優秀ルーキーに選出される。ライブハウスだけでなく、小学校や舞台系の専門学校、地域イベントなど、様々な場で演奏活動を行っている。今作『10年旅行』では、ゲストボーカル曲「すきま風と未完成な歌」を共作。

学生時代は考古学専攻、平安時代の屋根瓦について研究。特技は竹馬。趣味はスクラップブック作り。住まいは人形劇団の稽古場と屋根裏にかりぐらし。

 

HP http://www.virgomusic.com/spancle/

blog http://ameblo.jp/spancle-airi/

twitter https://twitter.com/#!/airi_spancle

 

次回、ライブ情報

 

06月02日(土)

「“LACHIC presents SAKAE SP-RING”」

 

開場/11:30 開演/12:00
スパンクルは、名古屋 MAGIC THEATER

18:00~出演予定

 

サカエスプリングとは・・

名古屋栄地区で開催されるライブハウスフェス。6月2,3日の2日間にわたって開催され、メジャーからインディーズまで多数のバンドが参加。

http://sakaespring.com/

 



 

「対談を始める前に」

 

 

佐藤  初めて会ったのがもう10年近く前だけど、第一印象が最悪だったって話を噂で聞きましたが・・・。

 

橋本  初めてライブ見た時、怒って帰りました。笑。楽器大事にしないバンドは嫌いだ!とか言って。二回目見たときに、曲は好きだけど、やっぱり最後にギターの人が楽器投げてたから、アンケートに「ギターを大切にしろ!」って書いて佐藤さんにぐしゃって渡した記憶があります。でも、めぐみ(スパンクル・ベース中島)にCDを借りて聴いていくうちに、どんどん好きになって、解散したときは悔しかったです。

 

佐藤  あはは。若かった。笑。ありがとう。ソロやukishizumiの活動になってからは、ライブを行き来したり、共演したり、なんやかんや長くお世話になってるわけですが。今回はテーマが“10年旅行”なので、初期の頃の歌詞と、最新の歌詞を見比べながら、その時々の話をしてみようという企画です。

 

橋本  うまく話せるか不安ですけど、よろしくお願いします。。(終始オドオドしている)。

 

佐藤  緊張するようなことじゃないよ(笑)。まずは、簡単な話にしよう。自己紹介的なことからにしましょうか。

 

橋本  はい。

 

 

 

 

 

「近くにいるのに、届かない、私の気持ちと、ケンタッキー・・・?」

 

 

佐藤  この、プロフィール的なところに書いてある、人形劇団の稽古場に仮住まいっていうのは?

 

橋本  両親が人形劇団をしているので、その稽古場と事務所があって。その上がロフトみたいになっているんですけど、私はその1畳くらいのスペースに寝てます。

 

佐藤  すごいな。なんか楽しそう。ログハウスみたいなイメージが今わいてるけど。

 

橋本  全力でプレハブです。

 

佐藤  プレ・・ハブ・・?あ、住んでるのは東京だよね?

 

橋本  東京です。そこに引っ越す前は、おばあちゃんの家に住んでたんですけど、そこはそこで、お届けケンタッキーが届かないようなところでした。

 

佐藤  ・・・・東京だよね?

 

橋本  東京です(笑)。ケンタッキー、家のすぐ近くにあるのに、届かなかった。

 

佐藤  近くにいるのに届かない、ケンタッキー。笑。こんなに待っているのに。笑。スパンクルっぽくはあるね。ぜひ新曲に使ってほしい。でもなんで届かなかったの?

 

橋本  家のまわりが森みたいになってて、しかもすっごく古い家だから、これ人住んでるのか?って、気づかれなかったみたいです。

 

佐藤  うちも築何十年の田舎の家だし、ピザも寿司も届くわけない田んぼの真ん中だから、同じようなものだけど、東京で経験している人がいるとは。。  友達の家となんか違うなとか、育った環境にコンプレックスとかはあった?

 

橋本  引っ越す前はあったかもです。テレビもなかったし、冷蔵庫もなかったし。こう、マイホームみたいなものに憧れはありました。

 

佐藤  それを聞いただけでも、かなりの歌詞が書けそうだね。コンプレックスは歌詞の素材としては主たるものだから。たくさん音楽になり得る素材が詰まってる生活してるのかな、と思う。

 

橋本  自分のなかでは普通なことが、いざ言葉にしてみたら普通じゃないって言われるのは、うれしいなと今は思います。

 

佐藤  自分の場合は田舎コンプレックスがあるけど、例えば同じ言葉でも、東京ではこう発音するけど、秋田だとこうみたいなものが、自然に出せたらいいなぁと思う。わざと方言で歌うってわけじゃないけど、なんだかしっくりくる感じ。隠しツールみたいな。語彙力や形容詞とか、歌い方の癖とかね、そういうところじゃない、生まれ育った環境とか、自分のなかの当然な部分、そういうのが出せたらいいなとは常々考えるね。

 

橋本  いいですね。歌詞を書いたり、音楽を作るようになってからは、それも良かったなと思いましたね。自分ではわからないけど、そういうの出てるのかなぁ。

 

佐藤  今回、ゲストボーカルをお願いして思ったのは、橋本さんは声の低音に特徴があるよね。ボーイッシュな曲とかが合う感じ。

 

橋本  あ、それのせいかはわからないですけど、自分のことを「僕」って歌うときは、なんだか落ち着きます。中性的な曲っていうのかな、そういうのが落ち着きます。

 

 

 

 

 

 

 

「あなたの卑屈、請け負います、みたいなね」

 

 

佐藤  では、歌詞を見ていこうか。持ってきてもらった歌詞の中で、いちばん古いのはどれかな。

 

橋本  『夜明け』かな。自分で作ったもののなかでは最初です。高校を卒業した頃くらい。

 

佐藤  橋本さんの曲、基本、片思いだよね?

 

橋本  (笑)。この頃は、単純に、恋とか無縁な外見をしてたので。こんな私でも普通に恋もしてるしちゃんと生きてるよ!って言いたい歌詞が多かった気がします。

 

佐藤  少し卑屈な人が、聴いてハマる歌詞だと思う。どうせ自分なんて・・・でも本当は・・・っていう。

 

橋本  そうそう、まさにそういうのを作りたくて。

 

佐藤  あなたの卑屈、請け負います、みたいなね。

 

橋本  自分なんて・・・はずっとテーマですね。

 

佐藤  こちらで持ってきたのでいちばん古いのは、19歳のときに作った『トリッキンランデヴー』って曲だけど、こうして見ると、やっぱり初期の曲って、「君」とか多いよね。笑。お互い共通して。

 

橋本  『夜明け』は特に「君」ばっかりですね。こうして見ると、『トリッキン~』って歌詞短いんですね。佐藤さんの歌詞は長い印象があるのに。

 

佐藤  ここからだんだん長くなっていくけどね。ukishizumiなんて7分とか当たり前だから。スパンクルはこれを見る限り、初期の方が言葉数は多いね。

 

橋本  最近の、同じ言葉を繰り返したりするので、自分では長く感じないですね。『夜明け』は最初、「君は土星で僕は輪っか」みたいな歌詞を書いてきて、それをみんなに直してもらった記憶があります。ミスタードーナッツで。これ意味わかんないよ・・・って言われて。笑

 

佐藤  土星だしドーナッツだし。

 

橋本  あ・・・。笑。ライブハウスに出るために、オリジナルを作らなきゃいけないと思って、3曲作ったなかの1曲です。

 

 

 

 

 

 

 

「初期はかなりドロってますね」

 

 

佐藤  初期の作品で、この歌詞はうまくいった!っていうのはどの曲?

 

橋本  『指輪』とか。これも18歳くらいの頃です。

 

佐藤  これは・・・暗いな。笑

 

橋本  好きな人に彼女がいるってわかったときの気持ちです。

 

佐藤  かなりドロってますね。

 

橋本  最初は、その時に好きだった人の本名をタイトルにしてて・・。

 

佐藤  おい。笑。すごくわかりやすい言葉で綴ってるなと思ってたら、実体験かい。難しい言葉は使ってないよね?それは一貫してる。

 

橋本  自分で本を読んだりするときは、難しいものの方が好きなんですけど、自分が作るものはそうですね、できるだけわかりやすいものがいい。

 

佐藤  そういう意味では、同じ時期の曲でも、『空に知られぬ雪』は少し違うよね。初期の他のものが、すごく現実的で物語を追ってるようなのに対して、この曲は写実的というか、情景を描いてる気がする。

 

橋本  “世界の終わりという名の雑貨店(嶽本野ばら) ”を読んでた頃なので、影響されたかもしれないです。佐藤さんはそういうの得意ですよね、風景とかを見せる歌詞の書き方。この『海のカナリヤ』って、イルカのことですよね?

 

佐藤  そう、白いイルカ。イルカが鳥になりたいから陸を這ってって、飛ぼうとする歌だね。この頃は暗い曲ばっかり。20歳~21歳くらい。

 

橋本  ukishizumiの『アンドロメダ』はすっと入ってきますね。アンドュートロワー!って。

 

佐藤  もはやダジャレだけどね。笑。それがたぶん23歳とかだね。今は違うアレンジを用意してるから、今後も機会があれば演奏しますよ。

 

橋本  サクサク曲を作っている印象があるんですけど、浮かんだら早いタイプですか?

 

佐藤  そうだね、橋本さんに歌ってもらった『すきま風と未完成な歌』(satohyoh 2nd solo works“10年旅行”に収録)は、一晩だったね。

 

橋本  びっくりしました。たしか前日の夜にメールで話して、起きたらデモが届いてたから。めちゃ早っ!って。

 

佐藤  夜中から朝方まで散歩してて、イントロのリフとサビの「きっと私は未完成で、そのすきま風が歌になる」っていうフレーズが浮かんだから、そこからはすぐだったね。帰って歌詞書いて、録音して。

 

橋本  レコーディングした時は、優しく歌うのに苦労しました。落ち着いたイメージなんだろうなっていうのはわかったんですけど。

 

佐藤  あの夏は本当にバタバタしちゃったから、レコーディングの日程も急に変わったりして申し訳なかったです。でも作れてよかったな。いい曲だよね。

 

 

 

 

 

 

「じゃあそれに対して、最近の歌詞は・・・」

 

 

佐藤  じゃあそれに対して、最近の歌詞を・・・えーと、『片想い宣言』って・・・・まんまじゃねーか。笑

 

橋本  気に入ってます。笑。

  

佐藤  初期と見比べると、同じ片思いでも、これは達観してきてるね。凄味すら感じるわ。

 

橋本  もう、同時にそれが情けないっていう気持ちの曲が増えてきました。

 

佐藤  でもこう、見比べてみると、自分の気持ちを言いたい歌詞から、私はこんなですけど、同じようなあなたの力になりたいです、っていう風に変わってる気がするね。歳を重ねた分の、大きさというか、優しさというか。

 

橋本  佐藤さんの歌詞は、気持ちと情景のバランスが変わってきてるかなって思えます。初期の曲ほど気持ちを抑えてる気がする。今回の“10年旅行”の収録曲は、気持ちの部分が強くなっている気がします。でもやっぱり情景を書くのが上手いから、そこは羨ましかったりします。

 

佐藤  歌詞にどこまで自分を投影させるかっていう話だよね。やっぱり最初の頃は、ただ照れくさいだけってのもあるけど、自分が恋愛の歌を歌ってもしょうがないっていう気持ちはあったかもしれない。自分の恋愛観になんか興味ないだろうなというか・・・でもじゃあ何になら興味あるかって考えたら、自信なくなっちゃうんだけど。でも詩的なものとか、言葉として作品になるものなら聞いてもらえるんじゃないかなというのが最初にあった。今はそこが少しフラットなのかもしれないけど、相変わらず恋愛の歌は、もっと、かっこいい人に任せようと思ってるところはあるけど。

 

橋本  そんなことはないと思いますけど。『ロカ』とか好きでしたよ。あれ恋愛の歌ですよね?

 

佐藤  「僕の生き方を濾過したら」っていうやつね。懐かしい。確かに恋愛の歌だね。あれは20歳になって、最初に作ったんじゃないかな。でも自分で歌うとなると、やっぱり違うかな。あの曲にはちゃんと別にボーカルさんがいたからね。『すきま風~』を作るときでも、橋本さんが歌う言葉として、自然なものを選んで書いたよ。それを自分に当てはめると、どうしても恋愛の言葉が出てこない。なんだろう、変な意識だけど。

 

橋本  自分で歌うときと、誰かに歌ってもらうときでは、歌詞を書くのも違いますか?

 

佐藤  元々、十代から二十代中盤までは、誰かに歌ってもらうって前提で曲を作ってたから、その人の言葉になっても不自然じゃないかは気にする。だから曲提供とかしてみたいなーと思うね。今まではよく知ってる人にしか歌ってもらってないけど、一から知り合った人に曲を作ったらどうなるか、とか。

 

橋本  川蝉(佐藤の上京時のバンド)の頃みたいに、まったく個性の違うボーカルさんが佐藤さんの歌詞を歌うのも面白かった。スパンクルも同じように曲を作る人が二人いるので、陽子(スパンクル・ギター藤田)が作る曲と自分の作る曲のギャップみたいなものも楽しいし。陽子が作ったものも自分がいちばん上手く歌える自負があります。そういう関係性を、作曲者と歌う人で築くのが大切だと思います。

 

佐藤  そうだね。川蝉はワガくん(現LEMONs)の曲と自分の曲のギャップがすごかったからね。それがあのバンドの特徴だったし、今はそれぞれいいところを生かして違うことしてるし。変化といえば、自分はアコースティックがメインになったことがいちばんの変化かもしれない。スパンクルもアコースティックライブやるよね?アレンジとかどうしてる?

 

橋本  アコースティックのアレンジの時、葵(スパンクル・ドラム大島)が色々な案を出してくれます。最近はあまりアコースティック出来てないですが、アレンジするのも楽しいので、すごくやりたいです。

 

佐藤  橋本さんの弾き語りは見たけど、バンドでアコースティックはまだ見てないからなぁ。

 

橋本  愛(スパンクル・ベース中島)はじめ、違う楽器にも挑戦したりするので、そちらもぜひ見に来て下さい。

 

 

 

 

 

 

 

「告白ニート」

 

 

橋本  いちばん新しいのは、この辺の曲ですね。根つめていっぺんにたくさん書きすぎて、その最後に出来たのが『告白ニート』っていう曲です。書き尽くしちゃって空っぽになって、でも搾り出さなきゃって書きました。

  

佐藤  この曲はすごくいいと思う。空っぽになった状態で作る曲って、良かったりするよね。空っぽだから出てきた歌詞って。

 

橋本  どこかで、告白できないのはあなたのせいだって言って、楽になりたい気持ちで書きました。メンバーは最初からいいって言ってくれてて、でもまわりの反応は遅かったです。震災の後だったし、「痛い」を繰り返すから、どうなんだろうって。最近はいいって言ってくれる人が増えて、うれしいです。

 

佐藤  片思いの曲のエキスパートになってきてるね。

 

橋本  でも、一度に何曲も仕上げるので、もう片思いの歌詞が出てこなくなった時でした。もう自分が搾りカスみたいになって、情けないなぁと思って、出来たのが『ないものねだり』です。恥ずかしさとか、ダメなところとかが詰まってます。帰り道で転んで痛くて・・・。

 

佐藤  あ、これも実話?

 

橋本  はい。もう「はぁ・・痛いよう・・・」って言いながら書いたので。ガリガリに痩せて弱ってる時期だったから。佐藤さんに実話の曲はありますか?

 

佐藤  『10年旅行』の収録曲でいうと、『クジラの歌のようだ(日常-α)』は、日常と非日常の境目くらいの曲だね。ふと感じることをそのまま歌にした。あ、さっき話してた昔の曲、『トリッキンランデヴー』は実話かな。別に、月の裏にイタズラ描きはしてないけど。本当に歩道橋で作ったからね。

 

橋本  あの曲はワクワクしますよね。ただ、いつか消えそうな幸せですよね。

 

佐藤  えっ!そんなこと考えてなかったな。あれは珍しく明るい曲なんだけど。

 

橋本  その中に、なんだか暗い影があるような・・。深読みしすぎですか?笑。でも佐藤さんの歌詞は、ぜんぶ最後に救いがありますね。

 

佐藤  あ、そうだね、言われてみればほとんどハッピーエンドだ。途中が暗いから、無意識にバランスとってるのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「きっと私は未完成で、そのすきま風が歌になる・・・怪我をして、改めて歌いたいと思いました」

 

 

佐藤  こうしてお互い歌詞を読むのは面白いね。CDを買ってくれた人って、どれくらい歌詞カード読んでくれるんだろう。あ、そういえばある時から、自分の曲はBGMで良くなったなぁ。

 

橋本  しっかり聴いてほしくないですか?できればひとりのときに。寂しいときに近くにある歌がいいなとか。

 

佐藤  もちろんあるよ、もう、そればっかり聴いてくれたらうれしいなとか。でもね、例えば9時に見たいテレビがあるから急いで帰るとか、聞きたいラジオがあるから深夜に起きるとか、そういうんじゃなくていいっていう。最初にその人の生活がメインであって、その風景の一部でいい。それがこの10年で変わったことのひとつかもしれないね。前はもう、人生ちょっと変えちゃうくらい好きになって欲しいとか思ってたから。

 

橋本  佐藤さんの曲を聴いたとき、すごく優しさを感じるのは、そういうところかもしれないですね。やっぱりちょっと、色んなこと、欲とか、削ぎ落とされている気がする。

 

佐藤  幸喜くんとの対談で、作詞作曲者は脚本家、みたいな話をしたんだけど、自分が仕切る場で、色んな人が動いて、演奏して、歌って、そういうのが好きなんだと思う。だから6/30のライブも、自分で歌わない曲もたぶんやるし、与えられた時間で何を歌うかじゃなくて、その時間をどう演出しようかなって考えてる。ではそろそろ、みんなに最後に聞くんだけど、これから先、10年について。

 

橋本  最近怪我をしてしばらく動けなかったんですけど、改めて歌いたいと思いました。それまで、うまくいかないこともたくさんあって、まわりの二十代の女性と比べて恥ずかしいなって思うこともあった。もう、歌うことも恥ずかしいと思っちゃうくらい。でもそれが少し吹っ切れた気がします。私にはまず歌うことがあって、それを中心に生活があるだけなんだなって思いました。

 

佐藤  10年後も、歌ってるね、きっと。

 

橋本  やっぱりバンドでいつか武道館!東京ドーム!って思うけど、まずは一人一人に寄り添う曲を作ることかなと思います。

 

佐藤  このまま片思いの曲を突き詰めていったらさ、10年後にどんな曲が出来てるか楽しみだよね。どうなっちゃうんだろう。意外と幸せな歌を作ってたりして。

 

橋本  どうなんだろう。でも私は、両思いっていう状態も、片思いだと思うんですよね。

 

佐藤  結局わかりあえないってこと?

 

橋本  うん、全部は、ですけど。

 

佐藤  もしかしたら、両思いに人一倍、憧れがあるのかもしれないね。例えば、このアイスコーヒーにミルクを入れると、黒と白が混ざった色と、コーヒーとミルクが混ざった味になるよね。この状態が、一般的に、両思いっていうイメージだと思うけど・・・・わかる?

 

橋本  わかります。自分と相手が混ざってる状態ですよね。

 

佐藤  そう。でも現実は、両思いはそういう状態ではないと思う。どちらかと言えば、このアイスコーヒーが入ってるグラスと、それが乗っているコースターの関係が両思いな気がする。

 

橋本  あぁ、なんとなくわかります。

 

佐藤  この二つで、ひとつ風景が作れるじゃない。お互いにそうであることが自然で、お互いを引き立てて。でもそれぞれがそれぞれに使い道があって、やっぱり一緒にあればそれがいちばん落ち着くというか。あ、これ両思いというか夫婦か。でもきっと、みんな混ざりあった状態に憧れる。

 

橋本  それは恋愛だけじゃなくて、友達や家族もそうですね。本当はもう、友達ならソウルメイト!という関係に憧れるけど、お互い干渉できない部分はある。

 

佐藤  橋本さんは、すっごくわかりあってる状態が、本当は好きなんじゃないかな?両思いでも片思い、という気持ちに反して、本当はすごく憧れてる。今回、歌詞を改めて見て、そんなことを思いました。勝手な分析だけどね。

 

橋本  あぁ・・・。笑。こうして久々に自分の書いたものを読み返して、これからもっといい曲を作ろうって思えました。やっぱり昔のものにある良さで、今は失くしたものもあるけど、成長してるんだなと思えたし、まだまだやれるとところがあるなとも思えました。

 

佐藤  「未完成だから、すきま風が入ってきたり出て行ったり、それが歌になる」っていうね。まさに今の心境が表れた曲になったんじゃないかな。と、宣伝になったところで終わりにしましょうか。

 

橋本  はい。もっとうまいことたくさん言いたかった・・・。

 

 

 

 

 

6月2日、サカエスプリングに参加されるみなさん、ぜひスパンクルのライブに足を運んでみてくださいね。

 

 

今回の対談のお相手、橋本愛里さん(スパンクル)とsatohyohが共作した楽曲、『すきま風と未完成の歌』は、satohyoh 2nd solo works“10年旅行”に収録されています。

 

同じく収録曲の、『10年旅行』『キャベツを炒めた匂いが届いたら』では、スパンクルの中島愛さんに、ベースで参加していただきました。

 

ご購入方法は、【販売方法】をご覧ください。

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試聴動画はこちら↓↓↓