「草とエンジン、完成記念!」

 

2013年10月に開催されたワンマンライブも大盛況だった、シンガー・アサコさんの、3年ぶりとなるCD音源「草とエンジン」が完成しました。2014年2月7日(金)には、レコ発ワンマンライブが行われます。作品制作の模様、簡単な曲解説、そしてライブの内容もちょっとだけ、お話していただきました。

 

 

 

 

■アサコ ・・・ 歌うたい。アメリカ シアトル生まれ、東京育ち。数々のバンド、弾き語り活動などを経て、現在の活動スタイルに至る。ソウルフルでパワフルなシンガーとしてはもちろん、パフォーマーやダンサー、劇団などとコラボレートする多彩な音楽家としても、日々成長中。


『草とエンジン』

 

1.草とエンジン
作詞 アサコ
作曲 荻野雄輔

 

2.たんぽぽ
作詞/作曲 アサコ

 

3.進む
作詞 アサコ
作曲 アサコ、伊澤知恵

 

4.声

作詞/作曲 アサコ

 

Piano 伊澤知恵(M1、M3)
       まついひでこ(M2、M4)

Guitar Micckyこうた
Bass 荻野雄輔
Drums 山川さやか
Violin 福井桃(M1)
Recording,Mixing,Mastering 関野純一(いきててよかったプロダクション)

Recorded at  太陽ぬ荘
Art Direction&Design 宮内雅子

Illustration ナカムラヒトミ

 

 


“声”

 

 - まずは、久々のソロ作品、完成おめでとうございます。作り始めたのはいつ頃ですか?

 

アサコ 取り掛かったのは、2013年9月かな、前回のワンマンライブの少し前です。音源としては3年ぶりくらいになりますね。

 

 - レコーディングはどのように行われたんですか?

 

アサコ 今回はエンジニアを関野さん(いきててよかったプロダクション)にお願いして、藤沢にある“太陽ぬ荘”というレコーディングスタジオに行きました。山川ちゃんは今回のために、温かい音のするドラムを手配してくれたので、セットを車に全部積んで。

 

 - それぞれの曲を、簡単に解説していただきたいんですが、演奏した順に、お話していきましょうか。

 

アサコ 最初に演奏したのは“声”という曲かな。割とライブでも要になっている曲で。前々回の音源にも収録している曲なんだけど、自分の『今』を歌ったものを、もう一度録りたくて。あ、実はキーを前より上げてます。何度も演奏している曲だし、思い入れがある曲です。

 

 - 最後の方、伸びていく声が演奏に溶けていくようで、とても心地いいですね。

 

アサコ いちばん最後に歌入れをしたんだけど、すごいへとへとに疲れてて、別の日にしようかとも話してたんだけど、どうしても今日歌を録音したいって頑張って・・・そしたら、神が降りてきて。笑。自分でも、どうしたんだろうって思うほど、感情が溢れてきたというか、すごく優しい気持ちになれて、感謝の気持ちが、ばーっと出てきて。いい歌が録音できたなーと思います。

“たんぽぽ”

 

アサコ 次に演奏したのは、“たんぽぽ”という曲。今回の収録曲のなかでは、いちばん新しい曲です。アレンジとしては、ギターのこうたくんにしっかり弾いてもらった分、ピアノのひでこちゃんには自由に遊んでもらってます。

 

 - とても可愛らしい導入ですが、バンドが入ってからは少しムードが変わりますね。それこそ、だんだん大人になっていくというか、育っていく感じというか。この曲は、どんなときに作ったんですか?

 

アサコ 友達の結婚式のときに作った曲です。とっても可愛い友達なので、もっと綺麗な花に例えようか迷ったんだけど、綿毛がふわふわ浮かんでるイメージが似合うなって思って。でも、根を張ったらなかなか折れないよっていう強さもある人だから、たんぽぽっていうタイトルにしました。

 

 - 花へのイメージって、人それぞれありますよね。例えばあと2ヶ月もすれば東京では桜が咲きますが、桜を見て楽しい気分になる人もいるし、なぜか悲しくなる人もいる。個人的には、たんぽぽには悲しいイメージがあります。

 

アサコ え、悲しいの?なんで?

 

 - 年老いて、白髪になって、抜けていっているように見えてしまって。

 

アサコ ひどくない!?でもそうか、その考え方も、間違ってはいない・・・かなぁ?

 

 - ほら、若いときに金髪になんかしちゃったからって。笑

 

アサコ 笑。いや、一般的には、もっと可愛らしいイメージだと思うよ!!

“草とエンジン”

 

アサコ ここで、1日目が終了で。2日目の最初は、“草とエンジン”。

 

 - バイオリンが印象的な曲ですね。

 

アサコ ある程度ミックスが終わった段階で、ここにバイオリンが入ったらすごくいいねって話になって。ライブでよくセッションさせていただいてる福井桃さんにお願いしました。完成品を聴いて、すごくうれしくなりました。壮大になったよね。

 

 - CDのタイトル曲ということで、やはり勝負の曲ですか?

 

アサコ そうだね、これがいちばんの推し曲というか、今回はまず、これが録りたくて、準備を始めました。

 

 - とてもユニークなタイトルですが、何か由来はあるんですか?

 

アサコ 歌詞の内容は、なにかのきっかけで遠くにいる人のことを思い出すというもので。今いる場所と、思い出が、ふとしたもの、匂いとかでね、リンクするというか、重なるというか。「柔らかい草とエンジンの香りに包まれて」っていう歌詞は、草刈り機のことなんですけど。

 

 - 芝刈り機!?

 

アサコ おじいちゃんが昔、芝を刈ってて・・・。

 

 - 桃太郎ですか?

 

アサコ 違う!笑。おじいちゃんがそういう仕事をしていて。夏の朝とか、その刈られた草と、エンジンのモーターの匂いがして、その風景がすごく好きで。それこそ、ふとしたときに、匂いで思い出すんだよね。この曲はタイトルから先にできた曲で、私にしては珍しい。

 

 - ちなみに、おじいちゃんって、シアトルにいる方ですか?

 

アサコ そう、母方のおじいちゃん。

 

 - シアトルで、広い庭で、芝刈り機って、映画の1シーンみたいですね。「これを使ってから、3分の1の時間で草刈りができるようになったのさー」っていう、あ、それじゃ深夜の通販番組か。

 

アサコ そんな最新の機械じゃないけどね。笑。私にとっては、おじいちゃんの曲だけど、遠くにいてなかなか会えない人を思い出しながら聴いてほしいですね。

“進む”

 

アサコ 最後に、“進む”という曲は、元々は、ちえさんとの即興演奏で生まれて、その後で歌詞を変えて。

 

 - ピアノと歌、とてもシンプルな曲ですね。

 

アサコ 今回は全曲とても大事なピアノで演奏していて。あの・・・どこまで言っていいか悩むんだけど・・・空に旅立ってしまった大切な友人の、ピアノを使わせていただいて。書き直した歌詞というのも、その友人のことを、思いながらというか、その友人に宛てて書いていて。自分も進んでいかないといけないなっていう気持ちで。

 

 - このピアノだからできた演奏、録音できた音に、きっとなっているんでしょうね。

 

アサコ 余計なアレンジもしないで、一生懸命、歌いました。こうして振り返って、改めて、メンバー、エンジニア、手伝ってくれた友達、みんなが頑張ってくれたから、出来たなぁと、本当に感謝しています。

『ライブに来てくれた人に、かたちあるものとして、直接手渡せるもの』

 

 

 - 最近では、自分のまわりで、音楽作品の発表の仕方についてよく話すんですが、自分にとって作品って、どういうものですか。

 

アサコ ライブに来てくれた人、その場で気に入ってくれた人に、直接手渡せるもの、ですね。やっぱり、かたちあるものとして、直接手渡したいっていうのが、最初にいちばん強くありました。

 

 - データとしてではなく、「もの」として、ですね。

 

アサコ 盤があって、ジャケットがある。そうするのが自然って思ったかな。ジャケットは写真と絵のコラボレーションなんだけど、いつもジャケットをお願いしているナカムラヒトミさんに絵をお願いして、デザイナーの宮内さんに色々構図とか、案を出していただいて。私はすごくアナログな人間なので、写真や画像で見るのと、手にとって紙で見るのは全然違うと思うし、実際に出来上がりを見たら、やっぱりそっちの方がうれしかったし、良かった。

 

 - 直接、手渡したいものって、いい表現だと思います。

 

アサコ もちろん、遠くに住んでる人でも、通販などで購入できるようには、したいと思ってます。でもまずは、レコ発に来ていただいて、手にとってみてほしいです。

 

 - ちょっと無理やりな質問ですが、あえて、生活のなかで、このときに聴いてみて!って絞るとしたら、どんなときに聴いてほしいですか?

 

アサコ うーん、1曲目から聴くとして・・・朝かな。例えば通学・通勤途中。朝の陽射しとか、匂いとか、そういうことから生まれた曲で始める作品なので、朝、どこかに向かっているときに聴いてみてほしいです。

 

 - 今日も一日頑張ろう、と思える作品だと思うので、とてもいいと思います。

 

アサコ でも、どんな場面でも聴いてもらえるような作品になったと思うので。逆にこんなときに聴いたら良かったとか、発見したらみんなに教えてもらいたいです。

 - レコ発ライブも迫ってきましたが、今回はどのようなライブになりそうですか?

 

アサコ 前回はピアノと歌だけの1部、バンドで演奏する2部っていう風に分けたけど、今回は最初から分けずに1部制でやります。レコーディングメンバーでそのまま演奏したくて、でもそうすると、ピアノが2人っていう豪華な編成になって。それならもっと豪華にしちゃえということで、バイオリンの桃ちゃんと、ビオラを中島伊代ちゃんにお願いして。

 

 - ビオラ!?

 

アサコ バイオリンより少し大きいやつね。さらに、サックスもいるんです。高橋秀典(Seeds of Sounds)さん。

 

 - ものすごい大所帯ですね。これは楽しみだ。

 

アサコ 入れ替わり立ち代り・・というと変だけど、せっかく機会だし、豪華な編成でやってみようかなと。でもレコ発ということで、収録した曲を軸に、聴いていただこうかなとは思ってますので。ぜひお越しください。


 

 

 

 

2014年2月7日(金)at 吉祥寺STAR PINE'S CAFE

 

新CD発売記念!アサコ ワンマンライブ

「多重彩声 vol.4  -冬-」

 

open 18:30 / start 19:30

 

前売り ¥2700 / 当日 ¥3000

※入場時、1ドリンクオーダーをお願いいたします

 

 ☆サポートメンバー☆

Piano  伊澤知恵
      まついひでこ
Guitar  Micckyこうた
Bass    荻野雄輔
Drums   山川さやか
Violin  福井桃
Viola   中島伊代
Sax    高橋秀典

 


おまけ

 

 - タイトルが『草とエンジン』と聞いて、フライヤーによく書かれている、『雑草のように 力強く 繊細に』というキャッチフレーズからきてるのかと思いました。

 

アサコ やっぱりそう思うよね。私のライブに来てくださった人は、よく見るフレーズだと思うんですけど。これは私の親友に言われた言葉なのね。「アサコちゃんって雑草みたいだよね」って。

 

 - え、それ悪口じゃ・・・?

 

アサコ 違います!!褒め言葉です!!!強くて逞しいっていう意味で、言ってくれた言葉です。なんだか、すごくそれが、自分に合ったというか、自分のやりたいことってそうだよなって思った。

 

 - やりたいこと?

 

アサコ 表現したいこと、かな。がむしゃらに頑張る姿とか。あとは、みんなが同じように生きてるんだねっていうことだったり。どんな場所でも生きていくところが強さだし、でも強さだけじゃだめだから、そこに繊細さも持っていたいなっていう意味を込めて、キャッチフレーズ的に使ってます。

 

 - 観賞用の花とは、ちょっと違う感じですか。

 

アサコ 花も好きだけどね。でも私はそうじゃなかったなって。綺麗に生きるっていうことも、出来るかもしれないけど、私が選んできた生き方は、そういうものじゃなかったなって。どんな状況でも、立ち直っていける自分でいたいと、思ってはいるんだけどね、なかなか。あと、後日談じゃないけど、お花屋さんの友達の仕事を手伝ったときだけは、雑草って全然繊細じゃない!!と思ったよ・・・。あれは、もう、ただただ、強かった・・・。